もうカレッジを卒業してから4年近く経ってしまいましたが、
カナダに来てやってよかった!と思うことの一つが、この「カレッジ進学」です。
最近は子育てに追われてあまり英語を使う機会や勉強する機会もなくなってしまいましたが、
カレッジ在学中はぐんぐん英語力も伸び、同じ夢を持つかけがえのない仲間にも出会えました。
今回はカレッジ生活ってどんな感じなの?どんな授業をするの?と気になっている人に役立てるよう、
実際に私が経験したカレッジ生活や授業内容についてご紹介したいと思います。
目次
入学から卒業までの大まかな流れについて
カレッジに入学する方法については以前の記事①、②に書いたのですが、
実際に入学してから卒業するまで、どんな学生生活になるかをざっとご紹介したいと思います。
まず、授業は1セメスター4ヶ月でワンセット、という形になっていて、
セメスターの中間にはMid-term test、セメスターの最後にはFinal examがあります。
授業によってはテストの代わりにグループワークでのプレゼンテーションや課題の提出があったりします。
Mid-term testの翌週には、Reading week という学校が休みの1週間がありますが、
実際は授業がないだけで、授業によっては課題をいくつか出されるので休むヒマはほとんどありません。
Final examのあとはセメスターが変わるため、やっと課題から解放されて次のセメスターまでゆっくりすることができます。
日本の大学と違って、決められたカリキュラム以上に単位を履修する必要はないですが、
卒業までに成績の良し悪しはどうであれ、当たり前ですが一つも単位を落とすことは出来ません。
万が一単位を落としてしまった場合は卒業が繰り下げられ、追加の学費を支払って次セメスターで履修する必要があります。
コースによっては実習やCo-opと呼ばれるインターンがあり、実際にお店や会社で働く経験ができたりもします。
2年以上のコースで9月スタートの場合、通常5〜8月は夏休みになりますが、
希望者はサマースクールを受講して早く卒業することも可能です。
卒業に関しては2年以上のコース、またデザイン系などポートフォリオが重要になるようなコースでは、
卒業制作といういわゆる「卒論」的な課題提出が必要になってくる場合もあります。
この時期はとても忙しいと思いますが、個人的には卒業が近づいて来たら、
働いてみたい会社などを探し始めて就活の準備をする(もしくは就活を始めてしまう)といいと思います。
ポスグラの期限などもあるので、卒業してすぐに働き始めることができれば最高ですよね。
仕事探しのコツについては別の記事に書いたので、ぜひ参考にしてみてください。
カレッジの授業内容、どんなことをするの?
ここでは最新版である2018 – 2019年のBaking – Pre-employment (H108) のCourse Outlineを参考に、
私が実際にどのような授業を受けていたのかをご紹介します。
ちなみに私が通っていた頃にはElectiveとBaking & Pastry Productionの授業はなかったので、
当時よりもますます大変になっているんだろうなぁ…というのが伺えますね。
その代わり、ワインとパソコンの授業がなくなっていますね。
ワインの授業は朝っぱらからテイスティングやペアリングをしたりして、なかなか興味深くて楽しかったんですが残念です…
実技の授業は1コマ4時間で週3回 (午前中だと朝7時からスタート)、座学の授業は1コマ1〜2時間です。
SEMESTER 1
Code | Course Name |
---|---|
HOSF1094 | Baking and Pastry Arts Theory I |
HOSF1093 | Baking and Pastry Arts Skills I |
HOSF1146 | Emergency First Aid/Heartsaver CPR (Weekend Course) |
COMM1007 | College English** |
MATH1102 | Mathematics for Hospitality** |
GNED | General Education Elective |
SEMESTER 2
Code | Course Name |
---|---|
HOSF1097 | Baking and Pastry Arts Theory II |
HOSF1096 | Baking and Pastry Arts Skills II |
HOSF1224 | Dessert Menu Management |
HOSF2060 | Baking & Pastry Production I |
HOSF1255 | Nutrition Fundamentals from a Culinary Perspective |
HOST1126 | Career Preparation |
HOSF1206 | Cost Control |
GNED | General Education Elective |
実技科目「Baking and Pastry Arts Skills」について
Baking and Pastry Arts Skills は実際にパンやケーキなどの制作技術を学ぶ授業です。
1年コースでは Skills I、II のみですが、2年コースになるとさらに Skills III、IV があり、
さらに高度なお菓子やペイストリー、デコレーションなどのスキルも学ぶようです。
ここでは基礎的な Skills I、II でどんなものを作ったのかを簡単に説明します。
Skills I では、主にパンについての技術を習得します。
パンといってもバゲット、ローフ (食パンみたいなパン)、ブリオッシュなど、それぞれ材料も作り方も焼き方も違います。
ちなみにもっと難しいクロワッサンやデニッシュは Skills II の最後に学びます。
Skills II は主にチョコレートのテンパリング、スポンジ生地 (ジェノワーズやビスキュイ)、シュー生地、タルト生地、メレンゲ生地、パイ生地、クッキー生地やプリンなどの冷たいスイーツ、デコレーションスキルなど、
いわゆるスイーツ全般についての基本的な技術を習得します。
特にケーキは土台やクリームを作ってデコレーションまでが一つの作業になるので、休むヒマがほとんどない!
ナッペと呼ばれるクリームを土台に塗る作業が難しいのなんのって…
でも甘いものが三度の飯よりも大好き!な私は、Skills II の授業が楽しくて仕方なかったですね〜 (笑)
1年コースでは卒業制作はなく、それぞれが1回の授業で作り終えたものを先生に見せて評価をしてもらいます。
ペアで交互に作業を進めていきますが、基本的には1人で最初から最後まで作品を完成させていきます。
私、この作業をやっていない!ということもあまりなく、1人で全ての工程を進めていくことができます。
セメスター1の授業について:College Englishがクセモノ
Baking and Pastry Arts Theory はベーキングの理論について勉強します。
例えば、小麦粉にはベーキングにおいてどんな役割があるのか、薄力粉と強力粉の違いは何か、など。
どちらかというと化学の授業に近いような…とにかく聞いたことのない単語だらけだったので、授業についていくのに必死だったことを覚えています。
Emergency First Aid/Heartsaver CPR は救命のクラスで、休日に丸1日かけて講習を受けます。
College English と Mathematics for Hospitality については入学時に受けるテスト (アドミッションテストで合格した場合はその結果) で、
カレッジレベルに到達しないと判断された場合、English Skills もしくは English Skills – ESL (英語レベルによって別のクラス) 、また Math Foundations を始めに受けなくてはなりません。
要するに、その分受けなくてはならない授業が増えるわけです…しかも1コマ1000ドル近い学費も追加で支払います。
私は数学は大丈夫でしたが、英語がやはり足りず English Skills から受けました。
ほとんどの留学生は English Skills から受けますし、中には英語ネイティブの人もいるので安心してください。
College English はセメスター2で受けたので、まぁ人より英語の勉強が多く出来たかな…と前向きに考えています (笑)
どちらもいわゆる「普通の」英語、数学の授業なので、きちんと受ければ大丈夫だと思います。
ただ、College English の授業は英語ネイティブとのディベート対決だったり、
Final exam では、英語のエッセイをパソコンを使ってその場でタイピングするなど (辞書は使ってもOK)、
英語の苦手な日本人にとってはプレッシャーも多く、一番大変な授業かもしれません…
セメスター2の授業について:就活フォローアップもあり
Nutrition Fundamentals from a Culinary Perspective はいわゆる栄養についての授業です。
それぞれの食材に含まれている栄養素やその効能などを学んでいきます。
Dessert Menu Management はレストランのコース料理の最後に出るような「デザート」についての授業で、
最後にはそれぞれ気になるお店に調査に行き、オリジナルのデザートを考えたりします。(実際には作りません)
Cost Control は実際にお店などを経営するのに必要な経理の知識を学ぶ授業で、
数学のような計算式が必要になるので苦手な人もいると思いますが、実際にはとても面白い授業でした。
原材料のコストからどのように販売価格を設定するか、利益がどのくらい出るようにするかなど、
将来自分のお店を開いてみたい、という人には必ず役に立つ授業になると思います。
Career Preparation は職業に直結するカレッジならではの就活サポートの授業です。
実際にレジュメを作成し、先生に添削をしてもらうことができます。
また、1人1人希望の就職先を設定し、先生が試験官となって模擬面接も行ってくれます。
そのときは本当の就職試験だと仮定して、服装や身なりもきちんとして行かなければなりません。
でも、そのときのレジュメや模擬面接の練習の効果もあってか、私もすんなりと希望のパティスリーに就職することができました。
補足:Food Handler の資格も取る必要あり
Course Outline にはないですが、おそらく Food Handler の資格を取る必要があると思います。
もしかすると今は Smart Serve も取る必要があるかもしれないですが…
Food Handler は衛生管理や食品衛生についてオンライン講座を受けて (別途受講料が必要だったような)、
実際に筆記試験を受けて合格しないと資格を取ることができません。
しかも合格ラインが90%以上だったような…とにかくしっかり勉強しないと合格するのは難しいです。
でも、普通の生活にも役立つ情報がたくさんあるので、勉強自体は楽しいと思います。
実技の授業よりも座学の授業の方が難しい!
当然といえば当然なんですが、英語ネイティブでない私たちにとっては座学の授業の方が断然難しいです。
実技の授業は先生やクラスメートとのコミュニケーションが必要とはいえ、
やることは明確だし目で見て学ぶことができるわけですが、座学の授業はそうはいきません。
英語ネイティブに対して先生が話している内容を理解してどんどん吸収していかなくてはならないので、
頭を常にフル回転させて授業に臨んでいくことが大切です。
少しでも授業についていくことができるよう、どうしたらいいのかを私なりに考えました。
英語が苦手…でも大丈夫!授業にしっかりついていく方法とは
カレッジに無事入学はできたものの、やっぱりそう簡単には英語は上達せず、
ネイティブだらけの中で日々授業についていくことが必死だった私。
それでも無事に単位を一つも落とすことなく、卒業時には Honour Student にまでなることができました。
英語が苦手でもきっと大丈夫!私なりのカレッジ生活を生き抜く方法をご紹介します。
予習は必須!どんなに忙しくてもしっかりやっておこう
なにはなくとも予習、復習が一番重要!特に「予習」はしっかりしておきましょう。
先生が話すスピードはものすごく早いので、その場でわからない単語の意味などいちいち電子辞書で調べているヒマはありません。
調べている間にどんどん授業が進んでしまうので、予習の段階でわからない単語の意味を調べておきましょう。
もし授業中にわからない単語が出てきたら、とりあえずメモっておいてあとで調べるようにすると◎。
そうした方がその単語を覚えられる確率が高くなりますよ!
また、予習をしてどんな内容なのかをあらかじめ頭に入れておくと、
たとえ英語をよく聞き取れなくても先生が話していることがなんとなく理解できるようになります。
授業中、わからないことがあれば必ず先生に質問しよう
予習をしても、授業で理解できないこともありますよね。
そんな時は恥ずかしがらずに、休憩時間や授業後に必ず先生に質問するようにしましょう!
どの先生もわざわざ質問しにきてくれるような意欲的な生徒には、親切に対応してくれるはずです。
しかも先生に自分の存在を覚えてもらえるという特典付き!
先生にやる気をアピールする、そして気にかけてもらうことはカレッジ生活において必ずプラスになります。(それによって評価が良くなることはないですが…)
波乱のグループワーク…それでも一生懸命取り組もう
カレッジ生活において一番苦労するであろう、「グループワーク」という課題があります。
課題自体はさほど難しくないですが、一緒に組む人のやる気次第ですごく楽にもなればすごく大変にもなります。
英語ネイティブの人と組むのは英語の面では助かりますが、けっこうやる気がない人も多いです (特にカナダ人)。
グループワークの評価自体はグループ全体での課題の出来のほか、
グルーム内でお互いに評価をつけ合うことも多く、一生懸命に取り組めばきちんと自分の評価に返ってきますのでご安心を。
とはいえ、やる気のない人にしっかりやらせることもチームの重要な役割なので、
しっかりとコミュニケーションを取って取り組むようにしましょう。
どうせなら Honours を取りたい!という人は
Honours とは成績優秀者のことで、GPA が3.5以上の人が獲得できます。
平均で GPA 3.5というと、単純にいえばほとんど A- 以上の評価でなくてはいけないのでけっこう厳しいと感じるかもしれません。
でも実際に Honors を取っている留学生はとても多く、私の知っている範囲の日本人の友人はみな Honour Students です。
これを取ったからといって就活に有利とかではないですが、レジュメに書くこともできますし、
なによりもカレッジ生活を一生懸命頑張ったという証明になると思います。
Honours を取るにはシンプルに「テストや課題を頑張って良い成績を取ること」だと思います。
難しいことかもしれませんが、予習復習をしっかりやって、わからないことは先生に質問する、
実技科目やグループワークには一生懸命に取り組めば、きっと大丈夫だと思いますよ!
まとめ:好きこそ物の上手なれ
よく北米の大学やカレッジで言われることが、「入るのは簡単だけど出るのは大変」。
英語になんらハンディキャップのないカナダ人であってもセメスターが終わるごとにドロップアウトする人が続出するので、これは紛れもなく事実だと思います。
他にも、途中で「やっぱりこれは自分のやりたいことじゃなかった」と言って辞める人もいます。
自分の将来について臨機応変に考え直すことも大切ですが、
せっかく悩みに悩んで入ったカレッジを途中で辞めちゃうのはもったいないですよね。
私もまったく英語を上手にしゃべることができないし授業の英語も理解できないことも多々あり、
こんなんでネイティブだらけのカレッジを卒業することができるのかと毎日不安でしたが、
自分が好きなことを勉強できる楽しみと、気にかけてくれる先生たちや助け合える仲間に恵まれて無事卒業することができました。
カレッジに行く目標はどんなことでもいいと思います。
カナダに移民したい、現地企業のオフィスで働いてみたい、海外の大学やカレッジで学生をしてみたい、など…
ただ、どんな目標であれ、出来るだけ自分が興味を持てる分野のコースを選ぶといいと思います。
英語が全然できなくたって、好きなことなら続けられるはずですしね。
最後に、カレッジ生活を一言で表すと「二度と行きたくないけどまた行きたい!」でしょうか (笑)
それだけ勉強が大変だったけど、好きなことを学べる時間が楽しかったということです。
これからカレッジに行こうと思っている人や、どうしようか悩んでいる人の参考になれば幸いです♪
Ruby Park
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